エアコンのブレーカー容量選定の完全ガイド|安全で快適な使用のために知っておきたい基礎知識

エアコンの設置や交換時に見落とされがちな「ブレーカー容量の選定」。実は、この作業はエアコンの安全性や快適性を左右する非常に重要なポイントです。
この記事では、エアコンのブレーカー容量の選び方を、初心者でも理解できるように簡単な言葉で解説しています。
電気工事士の知識を取り入れた正確な情報を元に、失敗しないためのコツや具体例も交えてご紹介します。
Contents
エアコンの使用に必要なブレーカー容量選定の基本とは?
エアコンに適したブレーカー容量を選ぶには、いくつかの基本的なルールを理解する必要があります。
ここでは、選定の際に知っておきたい3つの基本ポイントを紹介します。
消費電力と電流値をもとに選ぶ
エアコンのブレーカー容量を決める際の基本は「消費電力」と「電圧」から導かれる電流値です。
たとえば、2.2kW(2200W)のエアコンを100Vで使用する場合、2200W ÷ 100V = 22Aとなります。
この電流値に対して適したブレーカーを選ぶことで、安全な運用が可能になります。
逆に、計算せずにブレーカーを選ぶと、落ちたり発火の原因になる可能性もあるため注意が必要です。
エアコンの専用回路が必要
エアコンは、他の家電と比べて電力を多く使用するため、基本的に専用回路が必要です。
専用回路とは、分電盤からエアコンに直接つながる配線のことで、他の機器と共有しないようになっています。
共有すると、想定以上の電流が流れ、ブレーカーが頻繁に落ちる原因になります。
安全で快適にエアコンを使うには、ブレーカーと配線をセットで専用回路として設置することが不可欠です。
ブレーカーの種類によって対応できる電流が違う
ブレーカーにはいくつかの種類があり、それぞれ許容できる電流が異なります。
一般的な住宅で使用されるのは「配線用遮断器(MCCB)」や「安全ブレーカー(MCB)」などです。
ブレーカーには「定格電流値」が表示されており、これを超えると遮断される仕組みになっています。
使用するエアコンの消費電流をもとに、適切な定格電流値を持つブレーカーを選ぶ必要があります。
エアコンに合わせたブレーカー容量選定が重要な理由
ブレーカーの容量をエアコンに合わせて正しく選ぶことは、快適性や安全性に直結します。
ここではその理由を3つの視点から解説します。
容量不足だとブレーカーが頻繁に落ちる
ブレーカーの容量がエアコンの必要電流に対して小さすぎると、運転中に何度もブレーカーが落ちてしまいます。
これは「過電流」と呼ばれる状態で、電気の流れがブレーカーの許容範囲を超えてしまったことを意味します。
頻繁な遮断は不便なだけでなく、機器の寿命を縮める可能性もあるため注意が必要です。
ブレーカーが落ちる原因はエアコンだけでなく、同じ回路に接続された他の機器も関係する場合があります。
過剰な容量は安全性に問題が出る
一方で、エアコンに対して容量が大きすぎるブレーカーを選んでしまうのも危険です。
過電流が発生しても遮断されにくくなるため、火災などのリスクが高まります。
また、配線やコンセントが過剰な電流に耐えられない場合、そこから発熱し事故につながる可能性もあります。
電線の太さや許容電流に対して適したブレーカーを選ぶことが、電気設備全体の安全につながります。
メーカー指定の容量が守られていないと保証が無効になることがあるから
エアコンの取扱説明書には、使用する電源やブレーカー容量についての指定があります。
この指定を守らずに設置を行うと、メーカー保証が適用されない場合があります。
特に、施工ミスによるトラブルや火災が発生した場合、責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。
家電量販店などで設置してもらう場合でも、自分でブレーカー容量を確認しておくと安心です。
エアコンのブレーカー容量選定に使える計算式をわかりやすく解説
正しいブレーカー容量を知るためには、基本的な電気の計算式を理解することが大切です。
ここでは、誰でも使える簡単な計算方法を紹介します。
電力(W)÷電圧(V)=電流(A)で求められる
電流(A)は、エアコンの消費電力(W)を電圧(V)で割ることで求められます。
たとえば、2200Wのエアコンを100Vで使用する場合、2200 ÷ 100 = 22A です。
この電流値が、ブレーカー容量を選ぶ際の基準となります。
エアコンのスペック表には必ず「定格消費電力」が記載されているので、それを使いましょう。
電流に対してブレーカー容量は1.25倍が目安
実際に選ぶブレーカー容量は、求めた電流の約1.25倍が目安とされています。
これは、電気製品は起動時に一時的に大きな電流が流れる「突入電流」があるためです。
22Aなら、22 × 1.25 = 27.5Aが目安になり、一般的には30Aのブレーカーを選びます。
ただし、ピッタリの値でなく「一段階上の容量」を選ぶのが安全策です。
単相100Vか200Vかで計算式が変わる
家庭用エアコンでは、単相100Vと単相200Vの2種類があります。
同じ電力でも、電圧が高ければ電流は小さくなります(例:2000W ÷ 100V = 20A/2000W ÷ 200V = 10A)。
電圧が違うとブレーカー容量や配線にも影響が出るため、設置環境の電圧は必ず確認しましょう。
エアコン本体や説明書には「対応電圧」が記載されていますので、まずはそれを確認してください。
エアコンの種類別に見るブレーカー容量選定の具体例
実際にどのくらいの容量のブレーカーが必要なのかを、エアコンの種類別に見てみましょう。
畳数別に目安を知ることで、選定ミスを防ぐことができます。
6畳用(2.2kW)のエアコンなら15〜20Aが基本
6畳用のエアコンは、一般的に消費電力が約2.2kW(2200W)です。
100Vで使用した場合、2200W ÷ 100V = 22A ですが、定格運転時の電流や、省エネ運転などにより実際の稼働電流が小さくなることが多く、15A程度になることもあります。
しかし、ブレーカー選定は最大電流と突入電流を考慮する必要があるため、状況に応じて判断しましょう。
ただし、他の電化製品と共用しない専用回路にすることが前提です。
14畳用(4.0kW)のエアコンなら20Aが目安
14畳用エアコンになると、消費電力が4.0kW(4000W)ほどになります。
200V仕様で使用することが多く、4000W ÷ 200V = 20Aです。
この場合は20Aのブレーカーを選ぶのが適切とされます。
ただし、突入電流が大きい機種では、25Aや30Aのブレーカーが推奨される場合もあります。
大型エアコン(業務用)は30A以上が必要になることがある
業務用エアコンや20畳以上の大型機種では、5.6kW以上の消費電力となることが多いです。
この場合、30Aや40Aのブレーカーが必要になる場合があります。
さらに、業務用は三相200Vの電源を使うことが多く、一般家庭とは計算方法が異なります。
必ず電気工事士の資格を持った専門業者に依頼するようにしましょう。
家庭用と業務用で異なるエアコンのブレーカー容量選定ポイント
家庭用と業務用のエアコンでは、使用する電源の種類や必要な電流が異なります。
それに伴って、ブレーカーの容量選定にも違いがあります。
業務用は三相200Vが多く、高電流に対応する必要がある
業務用エアコンでは、三相200Vという特殊な電源が使用されることが多いです。
この三相電源は電流が低くても大きな電力を扱えるため、効率が良く業務用途に適しています。
ただし、家庭には通常三相電源は来ていないため、設置には特別な工事が必要です。
また、三相電源に対応したブレーカーや配線、分電盤が必要になります。
家庭用は単相で、ブレーカーと配線の太さが関係する
家庭用エアコンの多くは、単相100Vまたは200Vの電源で動作します。
単相電源では、配線に流れる電流が多くなるため、電線の太さも重要になります。
たとえば20A以上流す場合には、2.0mm²以上の太さの電線が必要とされます。
配線の許容電流を超えると発熱し火災の原因になるため、電線とブレーカーのバランスを考えることが大切です。
使用時間や同時使用機器の数も考慮する必要がある
ブレーカー容量を決める際は、エアコン単体のスペックだけでなく、実際の使用状況も重要です。
たとえば、他の家電と同じタイミングで使用する頻度が高い場合、電流が合算されることになります。
その結果、ブレーカーが落ちやすくなるため、少し余裕を持った容量設計が望ましいです。
使用時間が長い業務用や24時間稼働するケースでは、特にこの点に注意が必要です。
エアコンのブレーカー容量選定でよくある失敗とその対策
エアコンのブレーカー容量を選ぶ際に起こりやすいミスと、それを避けるための対策を紹介します。
知らずにやってしまうと大きなトラブルにつながるため、ぜひ確認してください。
既存の配線をそのまま使って容量不足になる
リフォームやエアコンの買い替え時に、既存の配線をそのまま使うケースがあります。
しかし、古い配線の太さや材質が現在のエアコンに対応していないこともあり、容量不足になることがあります。
配線が細すぎると、ブレーカーの容量を上げても安全にはなりません。
事前に電気工事士に配線の状態を確認してもらうことが大切です。
計算せずにカタログだけを参考にして選んでしまう
カタログには「おすすめのブレーカー容量」が書かれていることがありますが、これは目安でしかありません。
実際の使用状況や電圧、配線環境に合わせて計算しなければ、安全とは言えません。
カタログ通りに設置しても、突入電流や他の機器との同時使用を考慮していない場合、ブレーカーが頻繁に落ちることがあります。
必ず自分の環境に合った数値で計算し、選定することが重要です。
分電盤の容量を無視して設置しトラブルになる
分電盤(ブレーカーボックス)の総容量を考えずにエアコンを設置すると、全体の電力バランスが崩れます。
結果として、他のブレーカーまで頻繁に落ちてしまったり、最悪の場合火災のリスクが高まります。
分電盤の主幹ブレーカー容量や他の回路の負荷も含めて、総合的に判断する必要があります。
特に古い住宅では分電盤の容量が小さいこともあるため、注意が必要です。
電気工事士が教えるエアコン ブレーカー容量選定のプロのチェックリスト
最後に、電気工事士が実際に確認しているチェックポイントを紹介します。
これをもとにブレーカー容量を選べば、失敗のリスクを最小限に抑えられます。
エアコンの消費電力・電流値を確認する
まず、エアコンの定格消費電力(W)と定格電流(A)を確認します。
これは製品のラベルや取扱説明書に必ず記載されています。
この情報をもとに計算を行い、適切な容量のブレーカーを割り出します。
消費電力が分からない場合は、メーカーの公式サイトでも確認できます。
設置場所の電圧(100V or 200V)を確認する
次に、エアコンを設置する場所の電圧が100Vか200Vかを確認します。
電圧が違えば必要なブレーカー容量も異なります。
家庭用は100V、または高性能な機種で200Vとなっていることが一般的です。
間違った電圧で設置するとエアコンが動かないどころか、故障や事故の原因にもなります。
分電盤の空き容量と他の回路の負荷を確認する
分電盤に空き回路があるか、またその主幹ブレーカーの容量が足りているかを確認しましょう。
特に新たにエアコンを設置する場合は、分電盤に余裕がないと設置自体が難しくなります。
他の家電とのバランスも考慮して、全体の電力設計を見直すことが必要です。
専門業者による点検をおすすめします。
電線の太さ(許容電流)に適したブレーカーを選ぶ
ブレーカーの容量は、電線の太さに応じて決める必要があります。
たとえば、2.0mm²のVVFケーブルはおおよそ27A程度まで対応できます。
これを超える容量のブレーカーを取り付けると、電線が発熱し危険です。
電線の種類や状態も含め、専門家の判断をもとに選定しましょう。
まとめ|エアコンブレーカー容量選定の正しい方法と安全対策
エアコンのブレーカー容量を正しく選ぶためには、計算と確認の積み重ねが大切です。
また、設置環境や使用状況に応じて柔軟に対応することもポイントです。
計算式に基づき容量を選ぶのが基本
「消費電力 ÷ 電圧 = 電流」という基本式をもとに、1.25倍を目安に容量を選びましょう。
これが安全性と快適性の両立につながります。
計算をしっかり行うことが、失敗しない第一歩です。
ブレーカーだけでなく電線・分電盤全体で確認することが大切
単にブレーカー容量を見て終わるのではなく、配線の太さや分電盤の容量まで総合的に確認しましょう。
これにより、安全に長くエアコンを使用できます。
見落としがちなポイントも含めてトータルで判断することが重要です。
迷ったら電気工事士に相談するのが安心
自分で判断が難しい場合や不安があるときは、必ず電気工事士に相談しましょう。
プロの視点でチェックしてもらうことで、確実かつ安全にエアコンを設置できます。
結果として、トラブルの防止や寿命の延長にもつながります。
安心して快適な空間を手に入れるためにも、ぜひ今回の情報を参考にしてください。
業務用エアコンの販売・取り付けからメンテナンスまでは、伊藤テクノにお任せください
今回この記事では、エアコンのブレーカー容量の選び方についてご紹介いたしましたが、この記事を機に、業務用のエアコンの設置を検討している企業様もいらっしゃるかと思います。
業務用エアコンの販売・取り付けからメンテナンスまでは、私たち伊藤テクノにお任せください。
伊藤テクノは創業70年、業務用エアコンの老舗企業であり、長い歴史の中で様々な設備工事に携わってきました。
・年間販売台数3,000台の実績
・写真や動画で簡単見積もり・助成金の申請対応可能
・直接契約による価格の安さ、すべて自社スタッフの職人による高い技術力と対応力
・販売・取り付け、修理、洗浄までワンストップ
・正常稼働のための窒素耐圧試験の実施
・業務や環境に合ったエアコンのご提案
・10年のエアコン取り付け工事保証
・施工内容をすべてデータ管理しているため、お客様の過去のメンテナンスデータ 、設備の状況などすべて把握
と非常に多くの強みを持っておりますので、皆様には安心してご依頼いただけます。
ぜひ一度、下記リンクよりお問い合わせください。