業務用エアコンの馬力はどれくらいが適しているのか?利用場所別馬力の目安や業務用エアコンの選び方を紹介
業務用エアコンを選ぶ際は、一般用のエアコンとは異なり、様々な要素を考える必要があります。特に、重要なポイントとなる「馬力」がありますが、一体どのようなものなのでしょうか?
この記事では、業務用エアコンについて、馬力の定義、適した馬力の業務用エアコンをなぜ選ぶべきか、利用場所に適した馬力から馬力とそれ以外の業務用エアコンを選ぶうえで必要なポイントについてご紹介いたします。
Contents
適した馬力の業務用エアコンを選ぶべき理由
そもそも馬力とは?
業務用エアコンにおける「1馬力」は、使用電力換算すると2.8kwであり、8畳分の広さに対して空調がコントロールできる能力のことを指します。特に、エアコンの場合は広さで表現されることが多く、一般的には業務用エアコンの目安として、「10坪(=20畳=10.89平方メートル)で3馬力」が必要とされています。
エアコンの効きに影響するため
部屋の広さや環境に見合っていないエアコンでは、室内を冷えにくく温めにくくしてしまいます。その場合、長時間空調をかけても設定温度に辿り着かないといったことも起こり得ます。
寿命を縮めたり、故障しやすくなるため
エアコンの馬力が足りないと、常に無理な運転を続ける必要があり、エアコンの心臓であるコンプレッサーに負荷がかかり、故障の原因にもなりかねないです。他にも、馬力が大きすぎると、強い風が顔や体に直接当たり、不快感を感じることがあるため、最適な馬力のエアコンを使うことが重要になります。
電気代が増えるため
エアコンの馬力がその部屋に求められる馬力に達していないと、運転しても設定温度に到達せず、エアコンは常に最大能力で運転をし続ける必要が出てきてしまうため、電気代が通常よりも高くなってしまいます。
適切な馬力の業務用エアコンを選ぶための目安
馬力は単純な広さだけでは決まらない
同じ広さの空間であっても、天井の高さが高い方がエアコンの効きは悪くなります。また、飲食店のような加熱や冷蔵庫のような家電製品がある調理環境、インターネットや通信機器を多く保有するオフィスの場合は、エアコンの効き目が悪くなることがあります。
業務用エアコン選びの馬力と広さの関係性
オフィスなど
オフィスに該当するのは、事務所や病院、薬局、老人ホーム、銀行、学校、塾、幼稚園、保育園、音楽スタジオ、寮などです。特に、デスクワークが主体のオフィスが対象のOA機器の多いデザイン事務所などは、機器からの発熱が室内にこもりがちになりやすいです。空調の規格である「JIS C9612-1964」により算出した結果、算出基準負荷冷房時の冷房最大能力として105〜 230W/㎡が必要となります。17〜38㎡において1.5馬力相当を基準に以下の表のように面積に応じて適切な馬力のエアコンを使用しましょう。
馬力(能力) |
平米数 |
坪数 |
畳数 |
1.5馬力相当(P40形) |
17~38㎡ |
5~11坪 |
10~22畳 |
1.8馬力相当(P45形) |
20~43㎡ |
5.5~12坪 |
11~24畳 |
2馬力相当(P50形) |
22~48㎡ |
6~14.5坪 |
12~29畳 |
2.3馬力相当(P56形) |
24~53㎡ |
7~15坪 |
14~30畳 |
2.5馬力相当(P63形) |
27~60㎡ |
8~17.5坪 |
16~35畳 |
3馬力相当(P80形) |
35~76㎡ |
10.5~22.8坪 |
21~45畳 |
4馬力相当(P112形) |
49~107㎡ |
15~32坪 |
30~64畳 |
5馬力相当(P140形) |
61~133㎡ |
18~39坪 |
36~78畳 |
6馬力相当(P160形) |
70~152㎡ |
21~46坪 |
42~92畳 |
8馬力(P224形) |
132~195㎡ |
40~59坪 |
80~118畳 |
10馬力(P280形) |
165~243㎡ |
50~73坪 |
100~146畳 |
12馬力(P335形) |
197~291㎡ |
59~88坪 |
118~176畳 |
店舗など
ここで言う飲食店は、一般商店や中規模マーケット、倉庫、スーパー、ショールーム、作業場、屋内遊園施設、スポーツクラブなどがあります。服飾や貴金属、日用雑貨品などを販売させている一般商店の場合がこの店舗に該当する場合です。冷蔵ショーケースなどを設置している生鮮食品店などは、綿密な負荷計算が必要になります。標準的な店舗の場合は、算出基準負荷冷房時の冷房最大能力として160〜180W/㎡が必要であるため、17〜38㎡において1.5馬力相当を基準に以下の表のように面積に応じて適切な馬力のエアコンを使用します。
馬力(能力) |
平米数 |
坪数 |
畳数 |
1.5馬力相当(P40形) |
17~38㎡ |
5~11坪 |
10~22畳 |
1.8馬力相当(P45形) |
20~43㎡ |
5.5~12坪 |
11~24畳 |
2馬力相当(P50形) |
22~48㎡ |
6~14.5坪 |
12~29畳 |
2.3馬力相当(P56形) |
24~53㎡ |
7~15坪 |
14~30畳 |
2.5馬力相当(P63形) |
27~60㎡ |
8~17.5坪 |
16~35畳 |
3馬力相当(P80形) |
35~76㎡ |
10.5~22.8坪 |
21~45畳 |
4馬力相当(P112形) |
49~107㎡ |
15~32坪 |
30~64畳 |
5馬力相当(P140形) |
61~133㎡ |
18~39坪 |
36~78畳 |
6馬力相当(P160形) |
70~152㎡ |
21~46坪 |
42~92畳 |
8馬力(P224形) |
97~145㎡ |
29~43坪 |
58~86畳 |
10馬力(P280形) |
116~146㎡ |
35~44坪 |
70~88畳 |
12馬力(P335形) |
122~181㎡ |
36~54坪 |
72~108畳 |
飲食店など
飲食店は、具体的に、レストランやファーストフード店、居酒屋、ラーメン店、ケーキ屋、焼肉屋、、銭湯などが該当します。特に、カウンタータイプのお店のように、調理から発生する熱がエアコンの効き目に影響を及ぼすと、顧客が調理する鉄板など(焼肉やお好み焼き、もんじゃ焼き)では、他の一般的な飲食店よりも大きな能力が求められます。算出基準負荷冷房時の冷房最大能力として190〜370W/㎡が必要であるため、11〜21㎡において1.5馬力相当を基準に以下の表のように面積に応じて適切な馬力のエアコンを使用します。
馬力(能力) |
平米数 |
坪数 |
畳数 |
1.5馬力相当(P40形) |
9~21㎡ |
3~11坪 |
5.5~20畳 |
1.8馬力相当(P45形) |
12~24㎡ |
3.5~7坪 |
7~14畳 |
2馬力相当(P50形) |
14~26㎡ |
4~8坪 |
7.5~16畳 |
2.3馬力相当(P56形) |
15~29㎡ |
4.5~9坪 |
9~17.5畳 |
2.5馬力相当(P63形) |
17~33㎡ |
5~10坪 |
10~20畳 |
3馬力相当(P80形) |
22~42㎡ |
6.5~13坪 |
13~25畳 |
4馬力相当(P112形) |
30~59㎡ |
9~18坪 |
18~35畳 |
5馬力相当(P140形) |
38~74㎡ |
11.5~23坪 |
36~45畳 |
6馬力相当(P160形) |
43~84㎡ |
13~25.5坪 |
26~51畳 |
8馬力(P224形) |
61~97㎡ |
18.5~29坪 |
36~58.5畳 |
10馬力(P280形) |
76~122㎡ |
23~37坪 |
46~73.5畳 |
12馬力(P335形) |
91~146㎡ |
27.5~44坪 |
55~88畳 |
美容院など
ここで「美容室など」に該当するのは、理容室や美容室、カフェ、喫茶店、Bar、スナック、クリーニング店、サロンなどです。特に、美容院や理容院は、お客様が長い時間同じ席に座るため、エアコンからの風当りによる不快感には気をつける必要があります。算出基準負荷冷房時の冷房最大能力として230〜290W/㎡が必要であるため、14〜17㎡において1.5馬力相当を基準に以下の表のように面積に応じて適切な馬力のエアコンを使用します。
馬力(能力) |
平米数 |
坪数 |
畳数 |
1.5馬力相当(P40形) |
11~17㎡ |
4~5坪 |
8~10畳 |
1.8馬力相当(P45形) |
16~20㎡ |
5~10坪 |
6~12畳 |
2馬力相当(P50形) |
17~22㎡ |
5~6.5坪 |
10~13畳 |
2.3馬力相当(P56形) |
19~24㎡ |
6~7坪 |
11.5~14.5畳 |
2.5馬力相当(P63形) |
22~27㎡ |
7~8坪 |
13~16畳 |
3馬力相当(P80形) |
28~35㎡ |
8.5~10.5坪 |
17~21畳 |
4馬力相当(P112形) |
39~49㎡ |
12~15坪 |
15~29.5畳 |
5馬力相当(P140形) |
48~61㎡ |
14.5~18.5坪 |
29~37畳 |
6馬力相当(P160形) |
55~70㎡ |
16.5~21坪 |
33~42畳 |
8馬力(P224形) |
70~97㎡ |
21~29坪 |
42~58.5畳 |
10馬力(P280形) |
97~122㎡ |
29~37坪 |
58.5~73.5畳 |
12馬力(P335形) |
146~216㎡ |
44~65坪 |
88~130.5畳 |
業務用エアコンを選ぶ際のポイント
馬力・能力
業務用エアコンを設置する部屋の床面積に加えて、建物の構造や形状、窓の位置、人員や熱源量(人が発する熱、照明や器具などの熱、太陽熱、換気の際の外気の熱から発せられる熱量)などによって能力を判定します。また、算出基準熱負荷については、設置場所の面積(㎡)× 算出基準熱負荷(W/㎡)= 冷暖房能力(kW)した結果である冷房能力2.8kWを1馬力と換算します。
室内機の形状
設置場所の縦・横・高さの寸法や形状、室内デザインなどに考慮して選定します。冷暖房効率が悪くなり、結果的に機器の悪さから電気代がかさみやすくなります。入替えの場合は、既存で使用していたものと同じ型にして、新規の取り付けについては、設置場所の用途、広さ、形状、内装の雰囲気に合わせます。
具体的な形状としては、天井カセット形で1,2,4方向のタイプ、天井吊形、壁掛形、床置形、ビルトイン形や天井埋込ダクト形などがあります。
省エネ効率
イニシャルコストとしての設置費用とランニングコストとしての運転費用を考慮しつつ、省エネ性能などの機能性能に優れた機種を選びます。具体的には、一般的な省エネタイプと超省エネタイプの2種類に分かれます。特に、超省エネタイプは、各メーカーのフラッグシップモデル(特定のメーカーの提供される製品の中で最上級に位置する品)で、省エネ性能が極めて高いです。
業者の提案、施工
空調機器や施工に精通した優良な施工業者に提案や工事をしてもらうことが重要です。お客様の御使用状況に応じて適切な機器の選定ができることや提案から施工まで一貫して行える業者であることがポイントになります。
特に、会社のホームページから確認するときは、
・会社概要
・施工実績
・口コミや評判
・研修制度の充実度合い
・資格取得者の在籍
などを確認するとよいです。
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今回は、業務用エアコンの馬力の定義、業務用エアコンを選ぶうえで馬力に着目する理由、利用場所に適した馬力、業務用エアコンの馬力と部屋の広さの関係性や業務用エアコンの選ぶポイントまで、解説しました。
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