ロープアクセスによる新技術で、低価格・短工期の外壁塗装・補修工事を実現
こんにちは。首都圏を中心に業務用エアコンの販売や修理、分解洗浄を行っている伊藤テクノです。
今回のコラムでは、弊社のグループ企業である伊藤コンストラクションで展開している事業について紹介します。それはロープアクセス技術を用いた外壁塗装・補修工事です。
ロープアクセス技術とはどのようなものなのか、どういう工事ができるのか、どのようなときにメリットがあるのか、などについて紹介していきます。
Contents
ロープアクセスとは
ロープアクセスとは、足場を組まないで作業を行う無足場工法に含まれる新しい技術です。主に用いるのはその名の通りロープで、高いところからロープを使って作業員が降りていき、作業を行います。
ロープアクセスの発祥
産業用のロープアクセス技術はヨーロッパが発祥と言われます。世界で最も普及している国際認証はイギリスで1992年に設立されたIRATAで、このIRATAの資格保有者が現在世界に約10万人いるとされています。
装具や装備品もヨーロッパが主体で、世界シェアのトップメーカーはフランスのペツルという会社です。
日本国内でも1990年後半に独自のロープアクセス技術を開発する企業が現れるなど、20~30年の間で急速に拡大しています。
2016年には労働安全衛生規則によってロープ高所作業が初めて制定されました。世界的に見ると日本でのロープアクセス技術は遅れていますが、これからロープアクセスが活躍できる現場はさらに増えていくと予想されています。
ロープアクセスの仕組み
ロープアクセスは、作業員が屋上などの高所に固定したロープを降りていき、外壁工事や点検、清掃などを行う技術です。このロープを巧みに使うことで、縦方向だけではなく、横移動や斜め移動も可能です。そのため広範囲に渡り幅広い作業ができるのです。
他の無足場工法との違い
足場を設けずに高所作業を行うには、ロープアクセス以外に、ブランコ工法、ゴンドラ工法、高所作業車などがありますが、屋上から吊るされながら作業をするブランコ工法とゴンドラ工法との違いについて紹介します。
・ゴンドラ工法
ゴンドラ工法は、無足場工法に含まれますが、屋上に設置した装置から可動式の足場を吊り下げる工法です。この足場の上で複数の作業員が作業をすることになります。常設型と仮設型があり、ガラス張りのオフィスビルなどでは常設型が設置されていることが多く見られます。
メリットとしては、複数の作業員が一度に乗れるため工期が短くなることです。一方、ゴンドラの装置を設置できる場所が必要になるため、建物の形状によってはゴンドラ工法を用いることはできません。また費用も高額になりがちです。作業のためだけではなく、仮設型では取り付ける際の費用、常設型では維持費なども必要です。
・ブランコ工法
屋上から下ろしたロープに設けられたブランコ型の座面に座り、作業員が作業を行う方法です。ロープアクセスと似ていますが、作業員が座りながら作業をするため作業が限定されてしまいます。
また作業員の安全を確保するような明確な規則がなく、安全基準を満たした産業用の工具を用い、ロープと体を直接つなげるロープアクセスに比べて安全性が低くなっています。
ロープアクセスのメリット
ロープアクセスは、仮設足場を設けずに作業を行えるのが大きな特徴です。この足場を設けないことで次の3つのメリットが生まれます。
①工期が短くなる
仮設足場を設置する場合、そのためのスケジュールと撤去するスケジュールが必要です。建物の規模にもよりますが、設置するのには短くて1日、長ければ4~5日ということもあります。
それに対してロープアクセスは仮設足場を設置・撤去するためのスケジュールが不要ですので、工事初日から工事を始め、工事が終わるとそのまま終了となります。オフィスビルや店舗の入ったマンションなど、急いで工事を終わらせたい場合などは特にメリットを大きく感じるはずです。
②費用がかからない
仮設足場を設置するには、足場のレンタル代はもちろん、作業員の人件費、さらには足場を運ぶためのトラック費用、高所に釣り上げるためのクレーンなどの費用、交通規制などの費用も必要になります。
通常、オフィスビルで仮設足場を設置するには数十万円から数百万円に上ることもありますが、ロープアクセスなら足場に関する費用はまったく必要ありません。
③狭い場所でも作業ができる
仮設足場は土台がしっかり確保できないと設置できないため、建物の側面に敷地が確保されている必要があります。そのため、隣のビルと距離が近い、足元に花壇があるといった場合には、仮設足場が設置できないということもあります。
しかしロープアクセスは屋上などに吊り元を確保することができれば、作業をすることができます。そのため足場が設けられない場合でも、作業ができるのです。
またこの他のメリットとしては下記のようなことも挙げられます。
・外壁全体を見渡すことができ、クラック(ひび割れ)や故障箇所に気付きやすい
・防犯上の心配がない
ロープアクセスの安全性
ロープアクセスは作業員が体ひとつで降りて作業をするため、「安全性が確保されていないのでは?」という疑問をお持ちの方も多いのですが、実はその反対です。体ひとつだからこそ安全性が確保されているのです。
次の安全性に関する特徴を確認してください。
・安全帯や保護帽の使用、作業指揮者の監視などに関して、労働安全衛生規則で規定が設けられている
・体を直接ロープで固定している
・世界基準の安全性を満たした装具を使用している
・2本のロープを2つのアンカーで固定する「2ロープ・2アンカー」を採用している
・作業員は世界基準の資格を保有している
・資格以外に、レスキューなどの訓練も積んでいる、など
これらのことがロープアクセスを行う各会社で行われており、そのため事故の発生件数が極めて少なくなっています。
厚生労働省の発表した資料によると、足場作業において墜落や転落での死亡者数のうち、ロープ高所作業における割合は、2009年から2014までの5年間の総数で約12%となっています。この数字にはブランコ作業による事故が含まれており、産業用ロープを使った作業での死亡事故は日本では起きていません。
今後は作業員の技術が一層上がるはずですので、さらに事故数が減っていくことが期待されています。
ロープアクセスでできる工事
ロープアクセスは安全性が確保されているほか、作業員の自由度も高いため、幅広い作業が可能です。主に下記の作業に適していますので、確認してください。
■外壁修繕工事
・塗装工事…外壁だけではなく、鉄部塗装や配管塗装、屋根塗装も行っています。
・シール工事…タイルの目地やパネルの目地、窓サッシ周りなどのシール打ち替え工事もできます。
・防水工事…開口部の面台や庇の天端の防水工事ができます。
・タイル工事…浮きタイルや割れタイルの張り替えは数百枚程度なら割安です。
・打診調査…外壁タイルの打診調査を始め、塗装面の調査なども行います。
・漏水補修…散水やヘリウムガスなどによる漏水調査を行います。
・照明、看板…体育館や倉庫などの照明や安定器・トランスの交換、看板取り付けおよび撤去なども行います。
・鳥害対策…鳩避けピンや鳩避けネットの設置といった鳥害対策も行います。
・清掃および高圧洗浄…外壁だけではなく、斜屋根などの清掃、および高圧洗浄も行います。
200メートル以上の高層マンションはもちろん、プラント内のサイロ、鉄塔、橋梁、煙突などの高所での塗装や補修工事もロープアクセスが得意としている分野です。
まとめ
ロープアクセスは、幅広い工事ができる新しい工法です。費用も安く、工期も短くできるのが特徴で、これからますます注目されていくはずです。
弊社のグループ企業である伊藤コンストラクションでも、ロープアクセスを用いた外壁補修工事を行っています。
気になる方は下記までお問い合わせください。